私が22歳くらいの頃、女性Sさんと音楽ユニットで活動してた時の話です。
デモテープを作ろうと言うことになったのですが、スタジオを何時間も借りるのはお金がかかるので、友達が住んでる家を借りて、そこでレコーディングをすることにしました。
枚方の樟葉
その家には男友達が3人で住んでました。
大阪の枚方の楠葉と言う所に2階建の一軒家を借りてたのですが、別の友達のお父さんに知り合いの不動産屋を紹介してもらい、保証金100万、家賃12万のところを、保証金50万、家賃6万にしてもらったそうです。
部屋はリビング以外に下に1部屋、上に2部屋あり、それぞれ友達が専用の部屋として使ってました。
レコーディング当日、お昼前にその家について前に車を停めたら、助手席に座ってたSさんが「友達いはるみたい」って2階の窓からこっちを見てるって言いました。
私は3人ともバイトに行ってると聞いてたけど、いるならSさんを紹介しないとって思ったのですが、入ってみたら誰もいません。
Sさんは不思議がってたけど、とりあえず運び込んだシンセサイザーやMTRなどの機器をセッティングして録音を始めました。
その部屋は、さっきSさんが誰かいるって言ってた2階に上がってすぐ左の部屋です。
足音が聞こえる…
しばらくして、玄関が開く音がして、靴を脱ぐ音、廊下を歩く音、そして階段を上がって来る足音がしました。
足音は私たちがいる部屋の襖を開けたところで止まってます。
誰か帰って来たのかなと襖を開けたら、誰もいません。
大きな声で友達の名前を3人とも読んでも返事はありません。
私とSさんは不思議に思ってたけど、また作業を続けました。
その後何度か、玄関が開く音、廊下を歩く音、階段を上がる音が聴こえてたけど、襖を開けるとやっぱり誰もいません。
実は私は以前からこれを何度も経験してました。
今いる2階左の部屋で友達といる時によくそれがあって、そのことを友達に話しても空耳やとか隣の家の音やとか言われてました。
間違いなく聞こえてるので襖を開けたこともあったけど、誰もいなくて。
ずっと不思議に思ってました。
トイレで聞こえた叫び声
しばらく作業を続けてたら、Sさんがトイレに行きました。
トイレは1階で階段を下りたらすぐ左がトイレで、玄関入って4〜5歩歩けば突き当たりがそのトイレです。
Sさんがトイレに入ってる間に、また玄関が開く音がして、廊下を歩き、突き当たりのトイレの前で止まったような感じでした。
不思議に思って襖を開けて階段下を見たけど、やっぱり誰もいません。
そしたらトイレのドアが開いてSさんが階段を駆け上がって来ました。
部屋に入ると「Yさん(私のこと)、どうしたんですか?」ってSさんが言いました。
Sさんはものすごく焦ってると言うか、私を心配してました。
なにが?って聞き返すと、私がギャーっと叫び声をあげたと言いました。
もちろん私はそんな声は出してないし、叫び声は聞こえてません。
「誰か帰って来なかったですか?トイレの前にいなかったですか?」と言われたけど、間違いなく誰もいなかったです。
Sさんはオロオロしてました。
今度は私がトイレに行きました。
Sさんは「早く戻って来て」と、とても不安そうでした。
トイレに入ってると、また玄関が開く音がして、廊下を歩き、私が入ってるトイレの前で止まりました。
2階で聞いた足音よりも音は近く大きく、絶対にそこにいるはずなんです。
私は友達の名前を呼びました。
でも返事はありません。
そしたら階段を駆け上がる足音が聞こえたので、Sさんは1人なので私は急いでトイレから出て階段を駆け上がり部屋に戻りました。
どこを見てるの?
襖を開けるとSさんがビックリした顔でこっちを見てます。
でも見てるのは私ではなく、少し位置が横にズレてました。
部屋に入ると、Sさんが「Yさん、アカンわ。早よここ出ましょ」と言いました。
私も何かとてつもなく危険な気がしてたので、急いでレコーディング機器を持って下りて車に積みました。
シャワーが出てる
私はその家の鍵はもらってなくて、玄関は鍵がかかってるけど、裏を開けておいてもらってたので、そこから出入りしてました。
機材を積み終わりSさんを車に待たせて、私は最後に玄関の鍵を内側からかけて裏から出ようとリビングに入ったら、お風呂場でシャワーが出てます。
水滴が扉に飛び散ってます。
でも誰もいないし、来た時にはシャワーは出てなかったのに。
私は思い切ってお風呂場の扉を開けました。
そしたら、シャワーは出てなくて、雫がポタポタ落ちてて、下はビショビショに濡れてました。
ホラー映画みたいです。
刺された!
もうこれはヤバイと思って裏から出て家の前に回り、車に乗ろうとしたら!
右腰に感じたことのない重い鈍痛がして、後ろから何かが入ってきてグリグリされた感じがしました。
力が抜けてなんとか運転席に座ったら、助手席のSさんが運転席のやや後ろを見ながら「Yさん、だいじょうぶですかっ!」と言いました。
私は腰のことを話すと「早よここから離れましょう」とSさんが言ったので、私は力の入らない右足でなんとかアクセルを踏んで車を動かしました。
100m位離れたらすーっと腰が楽になりました。
Sさんはとても心配してたけど、もうだいじょうぶと言うと、少し落ち着いてくれました。
実は…
帰りの車の中で、Sさんは全部話してくれました。
その家に来た時に2階のその部屋にいた男は顔が青白かったこと、
足音は私と同じように何度も聞こえてたこと、
Sさんがトイレに入ってる時には、足音が扉の前で止まった時、ハァハァと男の声がしてたこと、
私がトイレから出て部屋の扉を開けた時、私の後ろに真っ赤な顔をした鬼のような表情をした男が立っていたこと、
そして私が車に乗る時、その男が持ってた包丁で私の右腰を刺したこと、
車を動かすまで、その男は車の中にいたこと。
後日、私はその家に住んでる友達に全部話しました。
そしたら、友達から気になることを聞きました。
リビングのシンク下に物をしまえる棚があるのですが、そこが少し開いてた時に女性の顔が見えたことがあるそうです。
お風呂は誰も入ってないのに、下が濡れてたことがあったり、だとか。
推測してみました!
私はそこで何があったのかを整理してみました。
その家には少なくとも男性と女性がいました。
男性は私たちが行った時に2階に居てこっちを見てた人。
女性はシンクの下にいた人。
2人は外から入って来た男に包丁で刺し殺されました。
女性はシンク下に隠れたけど見つかったのでしょう。
男性は2階から包丁を持った男が来ないか見てたのでしょう。
殺した男はシャワーで血を洗った。
でも、霊となってるので、おそらく自殺したのか、もう死んでるはずです。
つまり3人ともそこで亡くなってるはず。
それからしばらくして友達3人は別々に暮らすことになり、その家を出ました。
何年か経った後に、その物件を仲介してくれた友達のお父さんに会った時に、私はこういうことがあったんでしょ?と話したら「お前、それどこで聞いたんや?」とビックリされました。
私の推測は正しかったのです。
霊感って便利な言葉
高校生の頃に琵琶湖での怖い体験をした時には、霊に触られるのを実感したけど、この楠葉での出来事は刺されるという、おそらく稀な経験をしました。
腰の重い違和感や弱い痛みも、それに力が抜けて行く感じも、ちゃんとありました。
私は霊感なんてあるのかどうかも分からないし、そもそもそんなステータスが人間にはあるものなのか知らないけど、どうやらSさんは私よりも霊感が強かったから私には見えてない姿が見えてたり、聞こえてない叫び声が聞こえてたりしたのでしょう。
その家に住んでた友達は3人とも足音すら聞こえてないので、おそらく私より霊感が弱いのでしょう。
霊感って便利な言葉ですね。
まとめ
さて、その家ですが、同じタイプの一軒家が5件並んでる中の真ん中の家で、友達が出てから何度か前を通った時には入居者募集の看板が出てました。
隣とはひっついてなくて、前が駐車場で、京阪樟葉駅からは歩くと30分位かかるけど、まだきれいな家やったから、それで安くしてもらえると言うのは怪しいと思わないとね。
入る時に事故物件やと説明して欲しかったですね。
ちなみに、Sさんとは他にも不思議な体験をしています。
それはまた今度…。
コメント
楠葉のどの辺りですか?むっちゃきになります!
たしか船橋本町やったと思います。
1号線を京都から枚方に向かって枚方家具団地の交差点を右に行き、あとは道なりに進んで信号のある四つ角をさらに真っ直ぐに行ったら突き当たりが三つ角で、その手前の右側です。
2階建の戸建てが5軒並んでる真ん中です。
何年も経ってから前を通ったら、まだ入居者募集のパネルが2階に出してありました。
最近は分からないです。