-怖くない話-お別れを言いに来た?事業所のお線香の匂いと利用者が作業する後ろ姿

数ヶ月前のことです。
私が働いてる就労継続支援A型事業所で不思議なことがありました。
私が朝事業所に着いたら部屋の中が線香臭かったのです。
職員に線香の匂いがすると言っても、『分からへん』と言われました。
お昼前位まで匂ってたけど、私以外は気づきません。
その次の日も事業所に入ると同じように線香臭かったです。

ウチの事業所は近くに工場を借りていて、そこへ行って作業をする利用者がたくさんいます。
工場へは事業所から送迎があり、遅い方の送迎が出る時でした。
私が事業所内にいる送迎の車に乗る人数を数えたら9人いました。
職員が『全員揃ってる?』と言ったので私が『9人です』と答えると『9人??』とびっくりされました。
職員が数え直すと8人で、すぐに私も数え直したら8人でした。
『チョット大丈夫?』と笑われて送迎は出発したのですが、明らかに1人いたはずの利用者がいません。

ウチの事業所には厨房があります。
その厨房に近い机で私に背中を向けて作業をしていた利用者がいたはずなのですが、数え直した時にはいなくて軽作業の跡すら残ってなかったのです。
片付けるには早すぎます。
当時私はまだ利用者全員の顔と名前が一致しなくて、分からない利用者が2人ほどいました。
その背中を向けて作業をしていたのは男性で、確かチェックのシャツを着てました。
顔は見てないのですが、肩幅がしっかりしていて姿勢が良かったと憶えてます。
でもそれが誰なのか名前が分かりません。
その日に事業所で軽作業をしていた利用者は誰もいない日だったので、そもそもおかしな話なんですが私は確かに見ました。

さらに翌日のことです。
同じように送迎に乗る人が揃ってるか人数を数えると、また9人。
名前が書かれたマグネットのボードで送迎に乗る人を数えると8人で、職員が数えてもやはり8人でした。
でも昨日と同じで背中を向けて作業をしていた利用者がいたんです。
一度視線を切って振り返ったら、そこには誰もいません。

これはあくまでも想像ですが、数日前ここで働いていた利用者が亡くなってました。
でもその人は自分が亡くなったことに気付いてないのか、まだ事業所で作業してたのではと思ってます。
そう考えると全ての辻褄が合います。
線香臭いのはその日が最後でした。
もしかしたらみんなにお別れを言いに来たのかもしれないですね。
怖さは全く感じなかったです。

コメント